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 巨大なスクリーン。無意味にも思われるほどの兵士の数。そしてスクリーンに映っているのはこの島の地図。聞こえてくるのは生徒たちの会話、銃声、悲鳴。そんな中、特に気にかけることもなく『ロード』は携帯電話で会話していた。
「確かに、カタストロフィのメンバーはすばらしい。どの子もいい反応速度を持ってますよ。特に雪人と秀也はね。賢吾はもはや限界に達していますから・・・これ以上の成長はみられないと思いますよ」
クスクスと笑いながら上司と会話している。そのまま続けた。
「フフ・・・そして新しい素材も見つけたんですよ。西山哲志と西島徹。特に西山哲志はいい感じですよ。フフフ・・・あの"西山"なんですよ」
不気味に笑っている。兵士たちがこちらを見ながら訝しげな表情を浮かべていたが、別に気にならなかった。
「え?彼ですか?フフ・・・そう焦らないでくださいよ。彼には明日のAM6:00から参加してもらおうと思っているんですから」
チラリと後方に目配せする。そこに長髪の少年が立っていた。冷たくこちらを睨みつけているが、小さく笑ってまた前に向き直った。
「えぇ。彼に賭ける価値はあると思いますよ。カタストロフィと西島達がこれからどういう展開を見せるのかが・・・鍵になってきますがね」
一瞬、目つきが鋭くなる。口調は今までとさほど変わりはないが、表情は明らかに変わっていた。
「はいはい、ゲーム自体は順調です。では、また後ほど。はいはい、失礼しま〜す」
小さく頭をぺこぺこさせながら耳元から携帯電話を離していく。"ピ"という音と共に通信回線が途絶える。座っていたソファーから立ち上がり、後を向く。さっきと少しも変わりなく、少年が睨みつけていた。
「あ〜・・・今聞いての通りだ。君には明日の朝6時から参加してもらう。それまでゆっくり休むがいい」
それを聞くと少年はドカ、っと腰をおろした。ゆっくりと下をうつむく。その様子を見て、ロードは満足げに笑った。少年の首につけられた銀色の首輪が、スクリーンの光を反射し、鈍く光っていた。



【残り14人+5人】

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