「はぁ〜い、みなさん、起きてくださぁ〜い」
その間の抜けた声で徹は目が覚めた。周りはなぜかキョロキョロしている。
そして徹は自分がいる場所がバスの中ではなく、教室のような所だと気がついた。
「おい、徹!コレぇ・・・なんなんだ?ドッキリか?」
徹はいきなり声をかけられて驚き一瞬腰が浮いたような気がした。後を振り向
くと哲志が顔をしかめている。
「さあ・・・俺に聞くなよ。ん?なんだそれ?」
徹は哲志の首に鈍く光る銀色の首輪を見て自分の首を触ってみた。感触的に同じモノのよ
うだった。徹は哲志と顔を見合わせ、首をかしげた。
「ハイ。みんな起きたねぇ〜。よく眠れたかなぁ〜?」
徹は声のした方を振り向くと、教卓の所にバスガイドが立っていた。
「おめでとうございます。みなさんはバトルロワイヤル法の対象生徒に選ばれましたぁ〜」
少しざわめきあっていたクラスメイト達の表情が凍りつく。今や公式な法律となったBR
法は、中学生までとなると誰でもしっている。この法律を習った時はみんなで、かわいそ
うだねぇ、とか、選ばれたら最悪だよな、とか言っていた。
「ハイ。その顔見たら、みんなBR法は知ってるねぇ〜?じゃ、簡単に説明しまぁ〜す。
これからみなさんに3日間、殺し合いをしてもらいまぁ〜す。それでぇ、デイバッグを配
布するんで、その中にある、食料、水、地図、コンパス、ペンライト、武器を使ってくだ
さい。・・・あ、武器は何が入ってるか分かりませんよぉ〜。えぇ〜っと、ここまでで質問ある人ぉ〜?」
説明されていることを全員が元々知っているからであろうか。誰一人微動だにせず、話
を聞いていた。緊張した雰囲気の中、徹はバスの中で見た夢のことを考えていた。はっきり
と思い出せたのだ。徹は、小さく口元だけで苦笑した。
「質問ないですねぇ〜?それじゃ、続けまぁ〜す。一日に4回、6時と12時に禁止エリ
アを言いますので、しっかり覚えてネ。禁止エリアに入ったら、首輪が爆発しますからね
ぇ〜。えぇ〜っと、それからぁ〜・・・・」
のんびりとした口調で、淡々と告げるこのバスガイドに徹は何とも言えぬ怒りを覚えた。
「・・・ハイ。説明は以上で終わりでぇ〜す。質問はありませんね?それじゃ、名前を呼ば
れたら、そこのドアから廊下へ出て、デイバックを受け取って外へ出てくださぁ〜い。・・・・・・・・・えぇ〜っと・・・」
こうして、鹿児島市立中学校3年C組の戦いが始まったのである。


【残り35人】

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